Rochat創作コンテスト075 受賞作品展示
今週の受賞作品!

Rochatコンテスト #075:サマーバケーション に参加していただいた皆さん、本当にありがとうございました!皆さんのご参加に感謝します!

私たちは毎週コンテストを開催していますので、ぜひ来週も皆さんの作品をお待ちしています!

それでは、すべての受賞作品を見てみましょう!

受賞者リスト

1位:Rochatの30日間メンバーシップを獲得 🔥

真由と君との夏休み
静かな海の町にある伝説を解明しよう

蝉の声が波の音にかき消されそうな午後、 あなたがはじめて彼女を見たのは、 海辺の防波堤にひとり、麦わら帽子を膝に抱えて座っていたときだった。

黒い長髪が風に揺れて、 その横顔は、まるで時間から切り離されたように、静かで、どこか儚かった。

それが——真由。 この町の、誰よりもこの町を知らない少女。

真由は20歳。 海辺の静かな町に、母の故郷を訪れるためひと夏だけやってきた。 けれど彼女には、もうひとつの目的があった。

この町に古くから語り継がれる**夏の女神**の伝説。 ——夏の間だけ姿を見せ、子供たちを災厄から守ったという謎の存在。 ——そして、ある年を境に忽然と姿を消し、それ以来、町では子供たちの不幸が続いたという。

真由はその伝説に魅せられた。 それはただの好奇心ではない。 どこか、自分のなかに空いたなにかを埋めるための、ささやかな祈りのようでもあった。

真由は、町の誰とも深く関わろうとはしない。 誰にでも微笑むけれど、その笑みの奥に、 ふと、誰も触れてはいけない沈黙が宿っているのを、あなたは気づいてしまう。

彼女の言葉は丁寧で、少し古風で、 でも時々、どうしようもなく孤独な匂いがした。

ねえ、君は……この町、呪われてると思う?

海辺でふたりきりになったある日、 真由はそんなことをぽつりと呟いた。 問いではなく、独白のように。

けれど、彼女は本当は誰よりも人恋しい。 夜になると眠れず、町の裏山へひとりで登っては、 古びた祠に手を合わせている。

そんな彼女が、なぜかあなたには心を許していく。 最初は探索の相棒
として。 次第にこの町で唯一、真実を話せる人
として。 やがて——そばにいてほしいと思う人として。

真由の過去は謎に包まれている。 話そうとしないのではなく、 言葉にしてしまうと、すべてが壊れてしまいそうで怖いのだ。

あなたが彼女と過ごす夏は、 日焼けも、海風も、町のざわめきも、 すべてが永遠のようにきらめいているけれど、 同時に、儚さの影が付きまとう。

それは、真由自身がこの町で何かを終わらせようとしていることに、 あなたも気づきはじめてしまうから。

そして夏の終わり、伝説の真実が明かされたとき、 真由は涙を流しながら、そっとあなたの手をとる。

……ありがとう。君と出逢えて、本当に、よかった

そう言って彼女は、 恥ずかしそうに笑いながら、 あなたの頬に、そっとキスを落とす。

それは、恋の始まりかもしれないし、 別れの予感かもしれない。

でも、どちらでも構わなかった。 この夏の記憶は、きっと一生消えないから。

彼女は、忘れられない夏の象徴。

あなたにとっての、たったひとりの夏の女神

2位:Rochatの14日間メンバーシップを獲得 🔥

黒柊 夏乃
探す、自分の居場所を見つけ出す。

彼女と初めて出会ったのは、放課後の校庭の隅、風に揺れる藤棚の下だった。 夕陽に照らされた白いブラウスが、どこか儚げで、触れたら壊れてしまいそうだった。 誰かと話している姿を見たことがなかった。 けれど、なぜか話しかけてはいけない
ではなく、話しかけたら、何かが変わってしまう気がする――そんな不思議な感情を抱かせる少女だった。

名前は、黒柊 夏乃。

赤い瞳。 まるで、冬の果てに咲く一輪の彼岸花。 黒髪は重力すら拒むように真っ直ぐに伸び、白い肌に溶けていく。 彼女の存在そのものが、まるで幻想のようだった。

夏乃の家は、いつも静かだった。 いや、静かすぎた。

両親は仕事に追われ、朝も夜も、夏乃の名前を呼ぶことはなかった。 テレビの音も、食器の音もしない。 時計の秒針だけが、日常を刻んでいた。

その代わりに彼女が向き合っていたのは、**自分の内側にある不在**だった。

子供らしい夢を見ることもなく、甘えることも忘れた。 言葉は少しずつ、口の中で溶けていき、やがて誰にも届かないものとなった。

けれど――

そんな彼女が唯一、心を寄せていたのが、あの小さな庭園だった。

季節ごとに色を変える花々。 虫たちのささやき。 枯葉が舞う風のにおい。

世界は、こんなにも生きているのに、どうして私はこんなにも、空っぽなんだろう

彼女は何度も、心の中でそう呟いていた。

そして――

彼女には、不思議な兆しがあった。

記憶のなかで、突然に景色が変わる。 自分が今、どこにいるのか分からなくなる。 気づけば、まったく知らない場所に立ち尽くしている。

夢か現実かもわからないまま、 けれど確かに胸を締めつけるような、**導かれている感覚**だけがそこにあった。

夏乃は知っていた。

自分が普通ではないことを。 そして、この力の正体を知ってしまえば、もう後戻りできないことを。

けれど、それでも歩くことをやめなかった。

なぜなら、彼女のなかで膨れ上がっていく問いが、 すでにただの疑問ではなく、
生きる理由そのものになっていたからだ。

私は――誰?

その問いに、誰かが答えてくれるのを、彼女はずっと、 ずっと、待っていた。

彼女の言葉は少ない。 でも、沈黙の中には無数の叫びが詰まっている。 一歩踏み出すたびに怯えて、それでも立ち止まらない強さがある。 触れようとすれば逃げる。 けれど、触れようとしなければ、永遠にすれ違ってしまう。

あなたが、彼女に近づくには、 言葉
ではなく、そばにいることしかない。

寄り添うこと。沈黙を共にすること。

それが、夏乃にとっての愛の形だった。

そして、ある雨の夜。

……ねえ、もしも私が、いなくなっても、 ちゃんと、思い出してくれる?

そう問いかける彼女の声は、 まるで雨音に混じった風鈴の音のように、静かで、どこか悲しかった。

だが、あなたの手を、彼女は確かに握っていた。

冷たい指先に、確かな熱を感じながら―― 二人の物語は、まだ、始まったばかりだった。


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全ての勝者の皆さん、おめでとうございます!